公開日:2022.02.22更新日:2023.01.11
失敗しないエアー洗瓶機の選び方
目次
失敗しないエアー洗瓶機の選び方
エアー洗瓶機についてはおおよそ理解したけど、情報が少ないのでどのように選べばよいかわからないという方も多いかと思います。
エアー洗瓶機を製作している弊社としては選ぶ際に何点か外してほしくないポイントがあります。あらかじめ選ぶポイント知っておくと、これからのエアー洗瓶機探しが楽になり、最適な製品を選ぶまでの時間を短縮することができます。
このコラムではエアー洗瓶機の購入を検討していて、まだ購入に迷っている方や様々なメーカーのエアー洗瓶機を比較している過程の方向けに解説します。
主要なエアー洗瓶機のタイプ
「エアー洗瓶機とは?」のコラムでも説明しましたがエアー洗瓶機のタイプは主に下記の2種類になります。
ドラム式
ホルダーで固定しながら、容器を回転・反転させエアーを吹き付ける方式になります。比較的処理能力を必要とする場合に採用する装置です。アタッチメントによる段取替えにより、多くの容器種類に対応が可能です。
バックブリーカー式
装置をアームで掴みひっくり返して、容器にエアーを吹く方式になります。処理能力自体はあまり高く出ませんが、比較的低コスト短納期で製作することが可能です。
これらの基本仕様をベースに使用目的などや仕様で選んでいきます。
使用目的別で選ぶ
使用目的に対応する付属機能装置を設置する必要があります。メーカーとの打ち合わせ前に、出来るだけ目的を明確にしておくとスムーズに打ち合わせが進行し、メーカーも提案がしやすくなります。
洗浄対象物から選ぶ
エアー洗瓶機を使用する場合、大まかに分けて下記の2種類になります。
・ガラス瓶
・プラスチック容器
ガラス瓶は元々小さく破損している場合があり、洗瓶を行うと細かい破片が装置内に入り故障の原因になるケースがあります。したがって破片が装置内に侵入しないように排出口にカバーを取り付けるなどの工夫が必要です。
またプラスチック容器は埃や塵が貼りつきやすいので洗浄時に反転させるような仕様は必須です。
自動化条件から選ぶ
作業を効率化させるための導入であるなら、半自動か自動化を選びます。半自動はコストが安く融通が利く半面、作業能力はそこまで高く出せません。反対に全自動は作業能力が高い反面、コストがかかります。
ただし、最初に半自動で導入して、後ほど稼働の様子を見ながら全自動に改造できるような仕様にすることはメーカーによって可能です。
洗浄条件から選ぶ
どの程度の洗浄度を求めるかも重要な要素になってきます。例えば、目に見えない不純物を取り除きたい場合は、クリーンエアー仕様の洗瓶機をおススメします。
ただし微粒子単位の不純物を取り除きたい場合は、水を使用した洗瓶機の方を検討したほうがよいかもしれません。具体的な洗浄度の数値目安があれば、依頼予定のメーカーで製造が可能かすぐに判断が出せます。
選ぶ時の仕様のポイント
反転機構とイオナイザー
プラスチック容器はもちろんのことガラス瓶でもこの2点セットは必須になってきます。反転機構は物理的に埃塵を取り除き、イオナイザーは静電気の力で埃塵を寄せ付けないようにします。
クリーンエアー仕様
エアーの洗浄度を高めることで、エアーの目に見えないような細かいゴミが取り除かれ瓶に付着しません。フィルターで外から取り込んだエアーに含まれている不純物を取り除きクリーン圧縮エアーにすることができます。
さらに高い洗浄度を求めるなら後工程での異物検査の設備を導入も検討すべきです。
タイマー・風量設定
瓶のロットの状況により、瓶の必要洗浄時間や風量が変わる場合がありますので、弊社としてはタイマー・風量は可変であるべきと考えます。またこの仕様にすることにより1台で多品種の瓶に対応できます。
さらにログでデータ管理をできるような仕様であれば、内部トレーサビリティ構築に対応できます。
ダストボックス
エアー洗浄と同時に埃塵が吸引されるのですが、製品内部にダストボックスを付属させ、そこに埃塵を集めるような仕様にすれば効率的に廃棄できます。
まとめ
エアー洗瓶機は製作しているメーカーが少ないのでなかなか相見積は取りにくいですが、今回紹介させていただいたポイントを念頭に2~3社が提案する仕様や価格を見比べ決めるのがおススメです。
また導入時の価格だけで決めるのではなく、導入後のメンテナンス費用もメーカーとコミュニケーションをとりながらしっかり確認しましょう。導入は安かったけどメンテナンス費用が高かったというトラブルはよくありますので気を付けましょう。
弊社でもエアー洗瓶機を製作しています。興味ある方は弊社製品の仕様例を見ていただき、他社メーカーとの比較材料にしていただければと思います。
-
洗瓶・充填ライン基礎知識
化学薬品ボトリングプラントにおけるクリーンシステム
クリーンシステムとは、限られた空間内の空気中に浮遊するゴミやホコリや浮遊微生物(コンタミナント)を一定基準以下になるように清浄度を管理したシステムの総称です。サイズや用途等によって「クリーンルーム」「クリーンブース」といった機器や設備に分類されます。高純度薬液を製造している化学薬品メーカーにとって、製品の品質保持や汚染防止の観点から欠かすことのできないシステムです。
-
洗瓶・充填ライン基礎知識
洗瓶機・ボトルリンサーの特長と種類
洗瓶機(ボトルリンサー)とは、ガラス瓶や樹脂ボトルなどの容器を、水や精製水(超純水など)、クリーエアーなどで洗浄する装置です。洗瓶機・ボトルリンサーの特長や種類について解説します。
-
洗瓶・充填ライン基礎知識
化学薬品向け洗瓶機・リンサーとは?
洗瓶機・リンサーとは、容器へ充填する前に洗浄水や洗剤水などで洗う装置のことを指します。清浄度や洗浄度が高く求められる化学薬品向けの容器にとって欠かせない装置です。